公認会計士試験の論文式監査論では、短答式で身につけた知識を、設問に即して説明する力が求められます。このページでは、論文式監査論を学習するうえで意識しておきたい考え方を整理します。
論文式監査論では何が問われるのか
公認会計士試験の監査論は、短答式試験と論文式試験で、問われ方が大きく異なります。
短答式試験では、監査基準や監査基準報告書、法制度などについて、個々の知識を正確に理解しているかが問われます。選択肢の記述が正しいか、どこに誤りがあるかを判断するためには、規定や制度、用語の意味を正確に押さえておく必要があります。
これに対して、論文式試験では、単に「知っているか」だけではなく、その知識を使って説明できるかが問われます。たとえば、ある規定がなぜ置かれているのか、具体的な監査上の問題に対応するために監査人がどのような判断や手続を行うべきなのかを、設問に即して説明する必要があります。
つまり、論文式監査論では、知識をそのまま書き出す力ではなく、知識を設問に合わせて組み立てる力が求められます。

論文式の監査論は、暗記だけで全てが決まるわけじゃないんだね。



もちろん、専門用語や基準の表現を正確に押さえることは大切だよ。でも、それだけではなくて、設問に対して正面から答えることが重要なんだ。
規定は趣旨・理由とセットで理解する
論文式監査論では、規定そのものだけでなく、その規定が置かれている趣旨や理由を理解しておくことが重要です。
たとえば、監査基準や監査基準報告書には、「監査人は何をしなければならないか」という要求事項が示されています。論文式試験では、規定の内容だけでなく、「なぜそのような規定が置かれているのか」「その規定はどのような監査上の問題に対応するためのものなのか」が問われることがあります。
なお、論文式試験では監査基準の改訂前文の内容がよく出題されます。これは、改訂前文に、改訂の背景や趣旨、従前の制度上の問題意識が説明されているためと考えられます。



監査基準は、試験用参考法令基準集に収録されないから、試験中に確認することはできないよ。



重要な改訂前文については、あらかじめ内容を読み込み、改訂の趣旨を押さえておく必要があるね。
規定を学習するときは、その背後にある趣旨・理由をセットで押さえることがポイントです。
監査手続は「何を確かめるためか」まで考える
論文式監査論では、問題文で与えられた状況に沿って、監査手続を説明させる問題が出題されることがあります。
問題文の指示や解答行数にもよりますが、単に「確認」「証憑突合」「分析的手続」といった監査手続の名称を指摘するだけでは、答案として不十分になりやすいと考えられます。
たとえば、「証憑突合を実施する」と書いただけでは、監査人がその手続によって何を確かめ、どのような監査証拠を得ようとしているのかが、答案に表されていません。「売上取引の実在性や期間帰属の適切性を確かめるために、検収書等との突合を実施する」のように、手続の目的と結び付けて記述すると、設問の意図に沿った答案になりやすくなります。



その手続によって何を確かめ、どのような監査証拠を得ようとしているのかを、説明できるといいね!



監査手続が問われたら、リスクやアサーション、監査証拠と結び付けて記述するようにしよう。
監査手続は、手続名だけでなく、その目的とあわせて理解することが大切です。単に手続名を並べるのではなく、その手続によって何を確かめようとしているのかまで説明できるようにしておきましょう。
試験用参考法令基準集は「根拠を確認する道具」
論文式試験では、試験用参考法令基準集を参照することができます。
ただし、解答の骨子がまったく思い浮かばない状態で、漫然と法令基準集を眺めても、よい答案を書くことは難しいと考えられます。法令基準集は、「答えを一から探すためのもの」というよりも、答案の根拠や正確な表現を確認するための道具です。
まずは、問題文を読んで、何が問われているのかを把握し、解答の大まかな骨子を頭の中で組み立てます。そのうえで、必要に応じて法令基準集を参照し、監査基準報告書などの規定を確認することで、答案の正確性を高めたり、表現を補強したりすることができます。



法令基準集を参照できるから、何も覚えなくていいというわけではないんだね。



そうだね。どこに何が書かれているかを、ある程度わかっていないと、試験中に探すだけで時間が過ぎてしまうよ。
試験用参考法令基準集をスムーズに使うためには、監査基準報告書の大まかな体系を押さえておくことも大切です。
| 監基報の番号 | 主な内容 |
|---|---|
| 200番台 | 監査全体に関する基本的事項 |
| 300番台・400番台 | 監査計画、リスク評価、リスク対応、重要性、識別した虚偽表示の評価など、リスク・アプローチに基づく監査の基本的な流れ |
| 500番台 | 監査証拠や、個別論点に関する監査手続 |
| 600番台 | グループ監査、内部監査人・専門家など他者の作業の利用 |
| 700番台 | 監査報告 |
| 800番台 | 特別目的の財務諸表など、特殊な財務諸表等に対する監査 |
「この論点なら、だいたいこのあたりを見ればよい」という見通しをもっておくと、試験中にスムーズに参照できます。
期間限定の出題予想ページについて
当サイトでは、論文式試験の直前期に、その年の試験に向けて確認しておきたい論点を整理したページを、期間限定で公開することがあります。出題予想は、あくまでも直前期の復習の優先順位を考えるためのものです。特定の論点が必ず出題されることを示すものではありません。
現在、以下のページを公開しています。



年度別の出題予想ページは、試験終了後に公開を終了するよ。



監査人の行う実証手続が勘定科目ごとに詳しく解説されているよ!










